賃貸住宅では通常、2年ごとの契約更新が一般的ですが、更新の際には追加料金が発生することが多いです。
この更新時期には、多くの人が引っ越しを検討します。
そこで、更新と引っ越しのそれぞれの費用やメリット、デメリットについて詳しく説明します。
賃貸契約の更新か引っ越しか？
判断のポイント 住居に大きな不満がある場合は、更新時期を利用して引っ越すのが良いでしょう。
しかし、特に問題がなければ、引っ越し費用がかかるため、そのまま住み続けるのが適切かもしれません。
日本賃貸住宅管理協会のデータでは、単身者は平均3年3ヶ月、家族居住者はそれ以上に長く同じ物件に住む傾向にあります。
これは、2年または4年ごとの契約更新時に退去する人が多いためです。
suumoの調査によると、引っ越しの主な理由は「物件に不満がある」ことが多いです。
不満がある場合は引っ越しを、なければ更新を選択するのが一般的です。
更新する人の割合
タスの調査によると、約60％の人が契約を更新しています。
これは、引っ越しと更新をする人がほぼ半々であることを示しています。
長期間同じ物件に住む人が多く、住宅の良さが更新の主な理由となっていますが、6年以上住むと職場の異動などで引っ越すことが多いようです。
3年以上住む場合、違約金は不要
多くの賃貸物件では「短期契約違約金」は設定されていません。
2年契約でも「必ず2年間住む」という意味ではなく、ほとんどの物件で違約金は発生しません。
そのため、いつでも引っ越しをすることが可能です。
ただし、物件によっては特別な条件があるため、賃貸契約の詳細を確認することが重要です。
賃貸の更新と引っ越しの費用を比較
賃貸契約の更新は、一般的に引っ越しよりも経済的です。
更新時と引っ越し時の費用を比較してみましょう。
家賃の額に応じて、更新時と引っ越し時の総費用を比較しました。
例えば月額家賃5万円の物件の場合、更新時には約13万円かかりますが、引っ越しでは約30～35万円が必要で、差額は約17～22万円になります。
この計算には更新料（家賃の1ヶ月分）に加えて、次月の家賃、火災保険料、保証会社利用料も含まれています。
更新時にかかる費用の内訳
更新時には、更新料以外にも以下のような費用がかかります。
- 契約更新料：家賃1ヶ月分
- 翌月の家賃：家賃1ヶ月分
- 火災保険料：約15,000円
- 更新保証料：約10,000円
- 事務手数料：0円～5,000円
更新料自体は家賃の1ヶ月分ですが、実質的には翌月の家賃も支払うため、2ヶ月分の家賃相当の費用がかかります。
引っ越しをしない場合は火災保険の更新が必要で、その費用も考慮に入れる必要があります。
火災保険は途中解約した場合、残り期間分の返金が可能です。
また、保証会社を利用している場合、更新時の利用料は約1万円程度となることが多いです。
引っ越しに必要な主な費用
引っ越しをする際には、大きく分けて三つの費用がかかります。
これには、現在住んでいる物件の退去費用、新しい物件の初期費用、そして引っ越し業者に支払う費用が含まれます。
現在住んでいる物件の退去費用
200名を対象にしたアトムくんの調査によれば、退去時の平均費用は以下のようになります：
- ワンルーム/1K/1DK/1LDK: 約49,980円
- 2K/2DK/2LDK: 約79,924円
- 3DK/3LDK/4K～4LDK: 約90,139円
これらは平均値であり、実際の費用は物件やその使用状況によって異なることに注意が必要です。
新しい物件の初期費用
新しい物件に引っ越す際の初期費用は、一般的に家賃の4～5ヶ月分が目安とされます。
例えば、家賃が6万円の物件では、初期費用の内訳は次の通りです：
- 前家賃: 60,000円
- 敷金: 60,000円
- 礼金: 60,000円
- 仲介手数料: 64,800円
- 火災保険料: 15,000円
- 鍵交換費用: 15,000円
- 事務手数料: 5,000円 合計: 279,800円
ただし、物件によってこれらの費用は異なる場合があります。
引っ越し業者への支払い
引っ越し業者への支払いは、荷物の量や引っ越しの時期、距離によって変わります。
単身者で荷物が少ない場合、平均で約5万円程度が相場ですが、荷物が多い場合はそれ以上の費用がかかることもあります。
SUUMO引越し見積もりのデータによると、単身者の荷物が多い場合の月別平均費用は以下のようになっています：
- 1月: 47,189円（小）/ 64,776円（大）
- 2月: 48,617円（小）/ 62,694円（大）
- 3月: 58,168円（小）/ 87,643円（大）
- 4月: 55,010円（小）/ 81,943円（大）
繁忙期である3月や4月は、一般的に費用が高くなる傾向があります。
費用を抑えるためには、荷物を減らすことや、可能なら自力での引っ越しを検討することが有効です。
ただし、自力での引っ越しでは、十分な人手が必要になる点に留意しましょう。
賃貸契約更新のメリット
賃貸契約を更新することには、引っ越しと比べた場合に特有の利点があります。
しかし、これが必ずしも最良の選択肢とは限らないことに注意が必要です。
手間と時間を節約
引っ越しには、荷造りや光熱費の解約、インターネットの手続き、引っ越し業者の手配など様々な手間が伴います。
これらの手間を省けることは、更新料を支払うだけで済むため、時間と労力の節約につながります。
住み慣れた環境での生活継続
新しい場所に引っ越すと、その地域に慣れるまでに時間がかかります。
更新を選べば、既に慣れ親しんだ環境で生活を続けることができ、周辺施設や交通ルートに関する既存の知識を活用できます。
賃貸契約更新のデメリット
賃貸契約を更新することには、いくつかのデメリットも伴います。
追加の費用負担
更新する際には、引っ越しよりも安いとはいえ、更新料という追加の費用が発生します。
地域によっては更新料不要の物件もあり、そのような物件と比べると損失感を感じる可能性があります。
設備の老朽化
同じ物件に長く住むことで、他の部屋と比べて設備が古くなってしまうことがあります。
また、一定の築年数を超えると全面リフォームされる物件もありますが、長期居住者はその恩恵を受けられないことがあります。
引っ越しのタイミングを逃すリスク
契約を更新すると、「せっかく更新したのに引っ越すのはもったいない」と感じ、引っ越しを見送ることが多くなります。
長期間住み続けると、引っ越し自体が面倒になる傾向があり、最適な引っ越しのタイミングを逃すリスクもあります。
引っ越しのメリット
引っ越しにはいくつかの大きなメリットがあります。
これには、新しい環境への適応や、現在の住居に対する不満点の解決などが含まれます。
新たな始まりのチャンス
引っ越しは、生活を一新する機会を提供します。
新しい刺激や変化を求める人にとって、新しい場所への移住は心機一転のチャンスを意味し、人生や仕事への新しいアプローチを可能にします。
設備や立地の改善
新しい物件を選ぶことで、現在の住居の不満点を解決することができます。
騒音やインターネット速度の問題など、住んでみなければ分からない問題を克服できる可能性があります。
新しい物件選びでは、過去の経験を活かしてより良い選択ができます。
引っ越しのデメリット
引っ越しには、新しい環境への適応という利点がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
高額な費用
新しい部屋への初期費用、引っ越し業者への支払い、現在の物件の退去費用など、引っ越しには多額の費用がかかります。
これらの金銭的負担が引っ越しを躊躇させる一因となります。
引っ越し費用を節約して生活を豊かにするために、家具や家電への投資を検討することも一つの方法です。
手間がかかるプロセス
引っ越しには、退去の手続き、光熱費やインターネットの解約、荷造り、家具の解体など、多くの時間と労力を要する作業が伴います。
時間に余裕のない人にとっては、特に大変な作業となり得ます。
時間は貴重な資源であり、その使用は慎重に考えるべきです。
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